バッドボーイ
ちまたでは、ちょいワルというのが流行っているらしい(もうちょっとおそいが)
僕もこれには大いに賛成する。確かに男というのは悪い奴の方が良くもてる。
小学校の時もまじめに漢字の宿題をやってくる男よりも
おいらランドセルすら開いてないもんね。
というふてぶてしい奴のほうが、女子からキャーキャー言われていた。
また、まったく開かなかったせいで、ランドセルからかびたコッペパンが見つかる奴がいたが、
こいつはこいつでキャーキャー言われていた。
これは今のアイドルにも言えることである。
KinKi Kids という大人気アイドルがいるが、
彼らの人気の秘密は、
その名に、禁忌キッズ(タブーを犯す子供たち)と、英語でKinky(変態)という暗喩が含まれているからである。
しかしちょいワルというと複雑である
つまりちょっとじゃないといけないのである。
例えば、いや~銀行強盗しちゃって、五億くらい奪ってきたよ~
とかいっても
なにきも~い ちょーしらけー
という風に女子高生をホワイトキックさせてしまうようである。
人生はバランスが大事。
しかし、これが一番難しい。
僕も気づけば22歳。
もちろんまだまだ若いと思うのだが、それでも女子高生とリアルに接していた年代からはるかに遠ざかってしまった。
でも、男なら誰しも若い子からキャーキャー言われたいものである。
僕も彼女はいるが、それでもキャーキャー言われたい。
これは、全世界の男における普遍の真理らしい。
こないだ友達の家に行ったら、その友達の妹さんと会話する機会があった。
まだ18歳の女の子である。
これはキャーキャー言われるチャンスである。
そこで僕はちょいワルを装ってみて話しかけてみた。
「俺ってなかなかちょいワルやで」
「はい?どこがですか?」
ここで返答に困った。よくよく考えて見ると、僕は自慢できるほど悪いことなんかしたことがない。
そこで僕なりに思うちょい悪いことを列挙してみた。
「例えば、お風呂に限界まで水をはって、ざぶんと浸かってあふれさせちゃう」
「エスカレーターで左端に立ち止まっちゃう」
「燃えるゴミの日に荒ゴミ捨てちゃう」
「人が読みかけの推理小説の犯人言っちゃう」
どうだ決まった。僕は確信した。
しかし返ってきたのは意外な反応だった。
「……それは単なる迷惑な人ですね」
ちょい悪ってなんなのさ。