パトラッシュ
今、僕の住むマンションの忘れ物置き場に、トイプードルのぬいぐるみがあります。
忘れ物置き場はマンションのロビーにあり、僕はよくそのぬいぐるみの前を通ります。
初めはとくに気にも留めていなかったのですが、そのぬいぐるみと毎日顔を合わせていると、不思議と情が移っていきます。
持ち主に忘れられたのにも関わらず、純真な瞳を向けるぬいぐるみ。
僕はそのぬいぐるみが、だんだん可哀相に思えてきました。
ある晩、僕はコンビニに行った帰り、その忘れ物置き場の前を通りました。
ふと、ぬいぐるみに目をやると、いつもは正面を向いていたぬいぐるみが、どうしたことか壁に顔を向けていたのです。
「もういいんだ、僕はどうせ捨てられたんだから」
そういわんばかりの悲しい背中。
パッ、パトラッシュ!!
気づいたら僕はぬいぐるみを抱え上げていました。
ちょうどその時、人の気配がしました。
夜中に犬のぬいぐるみを抱きしめる22歳男性は確実に不審者。
僕は慌てて持っていたコンビニの袋にぬいぐるみをつっこみます。
しかし、不運なことに袋が小さく、ぬいぐるみの下半身が外に出てしまいました。
通りかかる住人の不審そうな目に対し、ネロ少年のような満面の笑顔で対抗します。
しかし、引きつった笑顔はむしろエロ中年の不適な笑いになったようで、住民は露骨に驚きつつその場を去っていきました。
こんな表情(クリックすると拡大)↓↓↓↓↓
通報とかされませんように。